遺産に係る基礎控除について  平成26年9月28日

税務に関しては、基礎控除という制度がありますが、これは各税目の税額計算において、課税の基礎となる金額から、誰でも一定額を控除できる金額のことです。

たとえば、所得の計算においては38万円、住民税は33万円、贈与税は110万円などとなっており、所得なら必要経費控除後の合計所得金額がこの範囲内に、贈与なら1年間の贈与合計がこの範囲内なら税金の心配はないわけです。

ところが、相続税に関しては、やや複雑で、今般改正もありその十分な理解が必要になっています。
 遺産に係る基礎控除額(以下、「基礎控除額」と略します)は、平成27年の相続開始分から3, 000 万円+600万円×法定相続人の数」となり、これまでの基礎控除額の6割に減額され税負担が重くなりました。 

 それならば、この算式により基礎控除額が多くなるように、法定相続人の数を増やせばいいのではと考えたくなります。今、推定相続人が配偶者と子2人の合計3人とすれば基礎控除額は48百万円になるところ、仮に孫が5人いた場合に全員養子にすると、推定相続人は配偶者、子、養子の孫となり,相続が開始した場合の法定相続人は8人で78百万円と大幅に増え税金を安くできそうです。

こんなことができるため、税務上の法定相続人の数は、実子がいる場合は養子1人、実子がいない場合は2人までと制限があり、養子縁組で基礎控除額は増やせません。なお、養子になった孫は民法上は全員相続人となり財産を相続することはできます。

 もう一つは相続の放棄(家庭裁判所)をした場合です。相続の順位は第1順位は子、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹ですが、相続開始時に法定相続人が配偶者と第2順位の母の2人であった場合、基礎控除額は42百万円です。そこで母が放棄をすると相続人は第3順位の兄弟姉妹に移りますが、もし兄弟姉妹が9人いると相続人は配偶者を含め10人となり、法定相続人の数10人で計算した基礎控除額は90百万円と大幅に増えます。
 しかし、こういうことができないよう、税法上は法定相続人の数は、相続の放棄があってもその放棄はなかったものとして取り扱われますので基礎控除額は増やせません。
 なお、相続の放棄をした人は、民法上は初めから相続人ではなかったものとして取り扱われますので相続人以外の人になります。  

 そこで、相続対策としては、元気なうちに贈与の特例などを有効に活用することが重要になります。対策の詳細は別稿に譲るとして想定される主な活用策を掲げておきます。

?贈与税の配偶者控除の活用(婚姻期間20年以上の配偶者へ贈与(自宅20百万円まで非課税)

?成年である子や孫の住宅取得資金や増改築資金の贈与(一般住宅は5百万円まで非課税)

?生命保険金の非課税活用(5百万円×前記の法定相続人の数まで非課税)

?金融資産等から評価額が低くなる不動産へのシフト(小規模宅地の評価減特例活用可能)

?贈与税の基礎控除110万円以下の毎年の贈与(随時、110万円超の贈与で贈与税納付も必要)

?特定の障害者への信託利用による金銭の贈与(3,000万円または6,000万円まで非課税)

?教育資金の一括贈与(1,500万円まで非課税 シニアの窓②で紹介済み)