生前贈与対策について 平成26年12月30日
 

いよいよ平成2711日から相続税および贈与税の税制改正により相続税の負担が重くなります。
 すでに新聞やテレビで取り上げていますので、みなさんそれぞれ対策を考えておられることと思いますが、そこで相続対策の一つである生前贈与について、効果があるのかないのか検証してみます。(ただし、債務控除などはないものとします。)

今、仮に財産が時価(課税価格の合計額)7,000万円として、法定相続人が第一順位の子供A,B2人だけとした場合の例で試算してみます。
 本年末までの相続なら、遺産に係る基礎控除額が7,000万円(算式=5,000万円+1,000万円×法定相続人2)ですから相続税の心配はありませんでした。
 ところが、来年から基礎控除額が4,200万円(算式=3,000万円+600万円×法定相続人2人)になりますので、差し引き2,800万円が課税遺産総額として、これに基づき相続税の申告と納税が必要になります。
 この場合の相続税は、相続人が課税遺産総額2,800万円を法定相続分の割合で取得したものとして計算しますので、1人分は法定相続分の割合1/21,400万円に税率を乗じ計算した160万円(速算表による算式=1,400万円×15%?50万円)が算出相続税になります。相続税の総額は2人分ですから320万円となり、これを財産の取得割合で納付しますので、仮に財産をA4,200万円、Bが2,800万円相続するなら、A192万円、Bが128万円納付することになります。

 では、親(被相続人)が生前に2人の子供にそれぞれ毎年3百万円ずつ5年間贈与するとしたら贈与税はどうなるでしょうか。
 贈与の場合は、基礎控除額が年間10万円ですから、贈与税の課税価格190万円(算式=300万円-110万円)の10%(110万円控除後200万円までは税率10%)で19万円です。2人の5年間納付済税額合計は190万円になります。

 一方、贈与側の親の財産は30百万円減少し40百万円となります。その結果、遺産に係る基礎控除額42百万円を下回りますので相続税はかかりません。相続税予想320万円が贈与税190万円ですみ差引130万円の節税となります。贈与の効果はありそうです。
 ただし、贈与者は、贈与完了後3年超は生存しておく必要があります。相続開始前3年以内の贈与財産は、相続財産の課税価格に算入されるため贈与の効果が少なくなるからです。

留意点は、贈与の真実性を証するため「贈与契約書」(私文書)をその都度作成し、できれば公証役場で公証人に作成日の証明「確定日付」を付してもらい(代理人の申請でOK)、毎翌年315日までに贈与税の申告書(簡単)を提出し納税します。贈与は現金または株式(上場株式等は時価評価)などが効果的です(契約書に印紙税不要)。

 贈与契約書も簡単です。「贈与者甲は現金300万円をAに無償で贈与することを約し、受贈者Aはこれを受諾した」(民法549条参照)と書き、日付記載、両者が署名押印し、公証人に「確定日付」(700円)を付与してもらえば出来上がりです。研究ください。

 また、不動産等で何らかの事情ですぐ贈与というわけにはいかない場合、本人の死亡の時に贈与するという「死因贈与契約」という方法も可能です。贈与契約ですが、効力発生時期が「死亡の時」になり、「遺贈」」に似ているため遺贈の規定に従うこと。書式も複雑になり、公正証書にしたほうがよいことなど留意点が多いので、検討必要なときは専門家にご相談ください。