公的年金の引き上げ抑制 について |
平成27年3月30日 |
シニアの窓⑤「年金減額対策について」で年金の減額に関する話題を取り上げましたが、今回は引き上げに 関するお話です。 平成25年12月の日本年金機構からのお知らせでは、平成27年度の年金額は、物価と賃金の変動がない限り, 算式は、「2.3%?0.5%?0.9%=0.9%」だそうです。 では「2.3%」は何かというと、平成26年度の賃金上昇率だそうで、通常ならこの分がスライドして引き上げられるはずでした。なぜなら、年金額を決める際は、消費者物価指数と賃金上昇率の低い方を適用するとされていたからです。前記の「0.5%」は過去の物価が下がったとき引き下げられずにもらい過ぎになった分ですから仕方ないとして、算式の「0.9%」マイナスするのはどういうこと?
日本の年金制度は、世代間扶養(賦課方式といいます)の制度となっており、現役世代の人が納める保険料でリタイヤ世代の年金を賄うという(感謝)仕組みで、現在年金受給者も現役世代の時に保険料を負担し高齢者の年金を支えていたわけです。 その仕組みは、将来の現役世代の過重な負担を回避するという観点から、最終的な保険料水準およびそこに到達するまでの各年度の保険料水準を固定したうえで、「現役人口の減少(現役全体で見た保険料の負担力の低下)」と「平均余命の伸び(受給者全体でみた給付費の増大)」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、その負担の範囲内で給付水準を自動的に調整するというものです。マクロでみた変動に応じて調整するという特性から前記のような用語が使われています。 これまでは、デフレ下で物価が下落していたため発動されなかったのです。しかし、今後は物価上昇目標もあり、年金財政のバランスがとれるまで適用されることになりそうです。 平成27年度の新規裁定者(67歳以下)の年金月額(参考例)
(マクロ経済スライド、年金額:厚生労働省HP参照) |