あると嬉しい遺言書について
平成27年7月30日

 先日、剣劇女優の浅香光代さん(87歳)が遺言書を作成したというテレビ番組が放映されていました。
 これをご覧になって「お思いやり」についてお感じになった方もいらっしゃると思いますが、遺言は家族への感謝の気持ちを込めた最後のラブレターといわれており、なるほどとうなずけます。浅香さんもほっと安心され、何より内縁の夫であるコメディアンの世志凡太さんが感激されていました。相続権はないのに監護に努めてくれた人への感謝の気持ちが表れたすばらしい思いやり遺言でした。

まだ早い、縁起でもないという方もありますが、気楽に手紙を書く要領でしたためれば気持ちは楽になるし、ストレス解消にもなり長生きもできて、家族や家族でない人も大変うれしいものです。

 ではどんな人が必要でしょうか。

 配偶者や子がなく兄弟姉妹や甥姪がいる場合は、遺言書がないと大変です。兄弟姉妹等は、民法上、第1順位の子、第2順位の親に次いで第3順位で相続人となります。相続人となる甥姪たちは音信不通で付き合いのないケースが多いにもかかわらず、相続が発生した時点で遺産分割協議に参加し権利を主張するからです。
 
分割に当たっては、本人のために療養看護に努めてきた人も、まったく貢献度のない人も、ほぼ均等になると思われます。また、相続人でない親切な人がいくら世話をしていても遺産はもらえません。ぜひ感謝すべき人に、その気持ちをしたためて嬉しい遺言書にしたいものです。

 さらに、兄弟姉妹も甥や姪もいない本当のおひとり様の場合は、もっと必要性が高まります。これはご承知のように相続人不存在になるからです。相続人がいないと、遺産は最終的には国庫に入りますので国のためにはなりますが、そこは、自分の意志で世のため人のためになる遺言書を作成したいものです。福祉のため、芸術・文化のため、母校奨学金など好きなところに遺贈できます。

 それでは、配偶者や子がいる方で、「仲が良いから遺言なんて必要ない」とお考えの方は大丈夫なのでしょうか。これは失礼ながら一番怖いのです。こと相続に関して「仲が良いから」は通じません。
 また、財産が少ないからといって遺産分割協議がすんなりいくわけでもなく、世間では争続(争族)になる例が多いと言われています。

ここは、本人に対する生前の貢献度や本人から子たちへ生前贈与した財産の多寡などを十分に考慮、調整して各相続人にどのくらいずつ遺すか、きちんとした意思表示により遺言書にしたためるのが、感謝され、安心できる、相続人に嬉しい遺言書になると思われます。

ここで注意したいのは、兄弟姉妹等を除く相続人(子や親)には、遺留分という最低限残さなければならない財産の割合がありますので、各相続人が持っているこの権利相当を侵害しないように配慮が必要です。

公正証書による遺言の場合は、戸籍謄本、印鑑証明書、固定資産税納税通知書、登記事項証明書、預貯金等証書などを揃え、公証役場に予約持参し相談されるとよいと思います。

 せんえつながら経験した事例から一部をご案内さて頂きました。

(参考文献)

 民法(相続編)

 松戸公証役場HP「遺言」http://www.matsudo-koshonin.jp/