年金増額作戦について

2017年12月30日

1.年金改革法の成立

昨年12月14日「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金改革法)が成立しました。
これにより、今後、少子高齢化が進む中で公的年金制度のメリットをより多くの方が享受できるように、制度の持続可能性を高め、将来世代の年金水準の確保を図ることによって、将来的にも安心な年金制度を構築するための措置が講じられました。
 公的年金制度は、現役世代の支払い保険料を高齢者の年金給付に充てる「仕送り」(賦課方式)を基本とする世代間の支え合いで運営されており、一部は税金や積立金も給付に充てられています。
 その仕送りの担い手である現役の若い世代では、将来、自分たちの年金はもらえなくなるのではないかとの心配の声もあります。このため、5年に一度「公的年金の財政検証」が行われており、前回の平成26年は、100年先までの見通しを検証し、将来受け取れる年金は、将来の現役世代の賃金の50%を上回る見込みになると試算されています。
 この制度は、ライフイベントに沿った生活上のリスクに備えるためにも、不可欠と思われます。
 ところで、本年度の「年金改定通知書」を見ますと、昨年度より減っています(昨年度金額の0.998の改定率で算定)。これは、昨年度の物価下落率が0.1%だったため計算上、この割合に減額されたものです。

2.年金額の改定ルールの見直し

 公的年金制度の持続可能性を高め、将来世代の給付水準を確保するため、年金額の改定に際して、次の措置が講じられました。

@マクロ経済スライドの適用

 平均余命の伸びや現役世代の減少を指数として、これを物価や賃金の伸びから差し引くことによって、数十年という長い年月をかけて年金の給付水準を徐々に調整するものです。物価・賃金の変動率がプラスの場合に適用される調整率ですが、平成28年度は賃金・物価ともマイナスだったため平成29年度分の年金には適用されませんでした。
 改正により、現在の高齢世代に配慮しつつ、できるだけ早期に調整を行い、将来年金を受給することになる世代の年金の給付水準を確保するため、名目下限措置(前年度より年金額を下げる調整までは行わない措置)を維持しながら、賃金・物価が上昇したときに、過去に調整できず繰り越した未調整分を調整する仕組み(キャリーオーバー)が導入されます(2018年4月施行)。
 賃金・物価が上昇し年金額が上昇すると、このスライド調整の適用により、減額調整されることになります。これにより、今後、年金が物価や賃金の上昇率と同じように増えることは期待できません。

A賃金・物価スライド

 年金額は、経済の変化を反映させるため、賃金・物価の変動に応じて改定する仕組みとなっていますが、変動率がプラスの場合、前記マクロ経済スライドによる調整が行われます。
 改正により、年金の支え手である現役世代の負担能力(賃金)が低下しているときは、これに合わせて年金額を改定する考え方が徹底されるよう、ルールの見直しが行われます。具体的には、物価に比べ賃金が名目でも実質でも低下する場合には、賃金の変化に合わせて年金額を改定(賃金スライド)するよう、年金額の改定ルールが見直されます(2021年4月施行)。

B短時間労働者への被用者保険の適用拡大の促進

昨年10月から、501人以上の企業等を対象に、短時間労働者の被用者保険の適用が実施されていますが、本年4月から、労働参加の促進と年金水準の確保のため、500 人以下の企業等も、労使の合意に基づき、企業単位で短時間労働者への適用拡大が可能となっています。なお、国や地方公共団体は規模にかかわらず適用されます。

3.受給資格期間短縮法の成立

   昨年11月に成立した正式名称「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」というもので本年8月から施行されています。
 老齢年金を受け取るために必要な資格期間(国民年金の保険料納付済み期間や厚生年金保険、共済組合の加入期間を含む)が、25年から10年に短縮されました。  該当者には、日本年金機構から「短縮」表示の黄色い封筒が7月までに送られていますので、手続き済みと思いますが、漏れがないかご確認ください。

4.資格期間が10年未満の場合

   資格期間がなくても年金が受け取れる国民年金の任意加入制度を利用できる可能性があります。
次の人は、本人の申出により、70歳未満の期間までに国民年金保険料を納めることで資格期間を満たすことがあります。
@60歳以上65歳未満の人
 老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていない人、現在、厚生年金保険に加入していない人が対象です。
A65歳以上70歳未満の人
 老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人、現在、厚生年金保険に加入していない人です。
B厚生年金の高齢任意加入制度
 70歳になっても老齢年金の受給資格期間を満たせないで在職中の人は、その期間を満たすまで任意加入できます。保険料は全額本人負担となりますが、事業主が同意すれば労使折半も可能です。

5. 改革に沿った年金増額作戦

@年金の繰下げ支給の活用

 本来、65歳で受け取るところ、70歳からの受け取りに繰り下げると、何と5年後は42%増加し、これを終身もらえます。ただし、平均余命(男性65歳で約20年)まで長生きしないと損になります。

Aパートで働き厚生年金加入

仕事従事可能な場合は、週20時間以上、賃金月額が8.8万円以上ある場合、厚生年金加入により年金を増やせます。保険料は個人負担ですが、企業の同意があれば保険料も折半となり、一層有利になります。

B個人年金

 これは個人が自由に目標を立て商品を選び実行してください。

C個人型確定拠出年金(iDeCoイデコ)の活用

60歳未満の現役の人は、活用研究の余地があります。4月30日投稿の「個人型確定拠出年金」をご参照ください。  

以上、最近の年金改正情報の一部をご案内しました。

  (参考文献)
1.年金改革法 厚生労働省HP 首相官邸HP
2.受給資格期間短縮法 厚生労働省HP
3.日本年金機構HP