暮らしにやさしい税制改正案

2020年12月19日

     

 12月10日、与党税制改正大綱が公表されました。
 コロナ禍にあって、その対応策として暮らしにやさしい減税案になっています。次の通常国会
で審議され3月末までには成立すると思われます。大綱の中から、私たちの暮らしに関する主な
項目を確認しておきましょう。

1.住宅借入金等特別控除の特例(個人ローン減税)

(1)現行
  住宅ローンを利用し住宅(50u以上)を取得し、令和元年10月から令和2年12月末までに
 居住の場合、その年の年末借入金等残高(4,000万円以下)の1%を10年間にわたり、原則と
 して、所得税から税額控除ができますが、さらに特例で3年間は、選択により次のいずれか少
 ない金額が控除できます。
 <控除額>
 @ 原則の控除率 1 %
 A 住宅購入価格(本体価格4,000万円限度)×(2%÷3)・・・消費税アップ分の年相当分
(2)改正案
  次のように改正されます。
 @ 契約日 新築住宅は令和3年9月末、中古住宅・マンションは11月末まで。
 A 居住開始 令和4年12月末まで(2年延長)。
 B 床面積 所得が1,000万円以下の場合、住宅の床面積が40u以上50u未満までに緩和
  されます。50u以上の場合は、所得要件は3,000万円以下で現行通りです。

2.固定資産税等

(1)現行
  固定資産の価格は、3年に1度見直され、所定の評価基準に基づき評価が行われ、課税標準
 額が定められます。税額は、固定資産税1.4%(標準税率)、都市計画税0.3%(上限)で、松戸市
 の場合は、固定資産税と都市計画税合わせて1.63%の税率で算出されています。
  令和2年度(2020年)の価格は、平成30年度(2018年)の基準価格が据え置かれていますが、
 本年度は3年目の最終年度になります。
(2)改正案
  令和3年度は評価替えの基準年度になりますので、令和2年度(2020年1月1日時点)の公示
 価格をもとに、評価替えが行われる予定でした。
  ご承知の通り、3月18日に公表された1月1日時点の公示価格は、コロナ禍の前であり、前年比
 で全国の全用途平均で+1.4%の5年連続上昇でしたが、9月29日に公表された7月1日時点の
 基準地価の全用途平均は▲0.6%で3年ぶりの下落となって反転しました。
  従来通りの評価が行われると、固定資産の価格が高い評価額となり、現況は地価が下がって
 いるにもかかわらず固定資産税は上がることになるところでした。 その負担軽減のため、令和
 3年限りの特例として、7月1日時点の基準地価により評価修正のうえ、税額が増える土地は前年
 並みに据え置き、税額が減る土地は減額とする措置が講じられることになります。 

3.贈与税の非課税特例

(1)教育資金、結婚・子育て資金の贈与
  教育資金、結婚・子育て資金として、父母・祖父母などからの一括贈与を受けた場合の非課税
 適用期限について、要件を一部変更のうえ、令和5年3月末まで、2年延長されます(改正後の
 要件等は末尾図表参照)。

(2)住宅取得等資金贈与の特例
  現行では、令和3年4月から12月末までの間に、父母や祖父母から住宅取得等資金の贈与を
 受けた受贈者(合計所得金額2,000万円以下)が、翌年の3月15日までに居住用家屋(50u以上
 240u以下)を取得等し、自己の居住用に供した場合には、一般住宅は700万円、優良住宅は
 1,200万円まで贈与税が非課税となっています。
  改正により、非課税限度額が一般住宅は1,000万円、優良住宅は 1,500万円に引上げられます。
 さらに、受贈者の合計所得金額が1,000万円以下の場合は、住宅の床面積要件が、40u以上240u
 以下に緩和されます。

4.自動車重量税(エコカー減税)

 自動車の取得や車検時に納付する「自動車重量税」について、燃費基準(1Lあたり平均17.6q)が
改正され、減免措置が令和5年4月末まで2年間延長されます。
 減税措置は、令和12年度(2030年度)燃費基準(1Lあたり平均25.4q)の60%以上達成の車種に
対し、達成度に応じて、25%から100%の減免措置が講じられます(詳細省略)。
 自動車を購入した際に、燃費性能に応じて最大3%課税される「環境性能割」は、税率を1%引き下
げる軽減措置が令和3年3月末から9か月延長され、12月末までとなります。

5.その他の改正

(1)保育等助成金の非課税
  国または地方公共団体が行う保育その他子育て助成事業に伴う助成金について、現行では、
 ベビーシッターや認可外保育所利用により助成金を受けると雑所得扱いとして課税されています
 が、令和4年分以後の所得から所得税・住民税が非課税となります。
(2)短期退職手当等の課税(適正化)
  退職所得は、所得金額を2分の1として課税され優遇されていますが、勤続が5年以下となる
 個人の短期退職手当等については、退職所得金額が300万円を超える部分は、2分の1とする措置
 が適用されなくなります。
  退職所得={退職手当等収入金額―退職所得控除額※(1年あたり40万円)}×1/2
  ※勤続20年超の場合
  退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)

6.納税環境の整備

(1)スマートフォンによる納税手続きの創設
  令和4年1月から、国税について、スマホを使用した決済サービによる納付手続きができるように
 なります。
(2)税務関係書類押印の見直し
  令和3年4月から、実印等が必要な担保提供関係書類や遺産分割協議書など一定の書類を除き、
 国税・地方税の税務関係書類の押印が不要になります。

7.参考(医療費)

 医療費の窓口負担額についてはシニアに厳しくなりそうです。 令和4年後半から、医療費窓口負担
割合が2割に引き上げられます。
 対象は、75才以上で、単身者は年収200万円以上、夫婦世帯は合計年収320万円以上となります。
 年収383万円以上の世帯は現行通り3割負担です。

 法案の動向に留意が必要です。

               
   
    一括贈与非課税制度(改正後)
  教育資金    結婚・子育て資金  
贈与者    受贈者の直系尊属
受贈者     30歳未満  20歳(令和4年4月以後18歳)以上50歳未満
受贈者の所得        合計所得金額(口座開設年の前年分)1,000万円未満>
限度額 1人1,500万円(学校外500万円) 1人1,000万円(結婚300万円)
口座開設      金融機関と契約に基づき口座開設
(信託設定、預金、有価証券購入)
使 途 学校等に支払の教育資金 結婚・子育て資金
終了事由 受贈者が30歳に到達 死亡 残高0円 受贈者が30歳に到達 死亡 残高0円
終了時課税 管理残高に贈与税課税
(30歳と到達後、在学、教育訓練受講中
の場合は課税しない)
管理残高に贈与税課税
贈与者死亡時 次の場合を除き、
管理財産は相続財産に加算する
(受贈者が23歳未満、在学中、教育訓練
受講中)相続人以外は税額2割加算あり
・管理残額は相続財産に加算する
・相続人以外は税額2割加算あり
特例の併用      基礎控除110万円、相続時精算課税制度2,500万円、上記両方の併用

<参考文献>
1.令和3年度税制改正大綱
2.地方税法(固定資産税、自動車税)、租税特別措置法(所得税)
3.国土交通省ホームページ 基準地価 公示地価
4.厚生労働省ホームページ 医療費